【一人旅にもおすすめ】特急あずさで下諏訪宿から奈良井宿へ―ゆっくり列車で味わう信州の古道

【一人旅にもおすすめ】特急あずさで下諏訪宿から奈良井宿へ―ゆっくり列車で味わう信州の古道

2025年10月14日

新宿から特急あずさに揺られて、信州の古い宿場町を訪ねる旅に出かけてみませんか。忙しい日常から少し離れて、一人でのんびり歩く時間というのは、思いのほか心を軽くしてくれるものです。

中山道の宿場町として栄えた下諏訪宿と奈良井宿を巡る旅は、大きな観光地のような派手さはないけれど、江戸時代から続く町並みや人々の営みが静かに息づいていて、ゆっくりと時間をかけて味わいたくなる魅力があります。

特急あずさで信州へ

特急あずさは新宿駅から松本方面へ向かう中央本線の看板列車で、車窓からは都心を抜けると次第に山が迫ってくる風景が広がります。高尾を過ぎて甲府盆地を抜け、やがて諏訪湖が見えてくる頃には、もうすっかり信州の空気に包まれています。下諏訪駅までは新宿から約2時間半ほど。通勤電車のような混雑もなく、指定席でゆったりと座っていられるのが特急列車のいいところです。

えきねっとでお得に予約

えきねっとを使うと、特急あずさの料金が割引になります。JR東日本のインターネット予約サービスであるえきねっとには、事前予約で運賃と特急料金が割引になる「えきねっとトクだ値」という仕組みがあります。

通常5パーセントから最大50パーセント程度の割引が適用されることもあり、旅行の日程が決まっているなら早めに予約しておくとお得です。えきねっとのサイトやアプリから希望の列車を検索して、会員登録をすれば予約ができます。支払いはクレジットカードで済ませられるので、駅の窓口に並ぶ手間もありません。

きっぷは駅の指定席券売機や窓口で受け取るか、チケットレスサービスを使えばスマホ画面を改札にかざすだけで乗車できます。繁忙期には割引対象外になることもあるので、予約の際には確認してみてください。

下諏訪宿を歩く

下諏訪駅に着いたら、まずは駅前から続く旧中山道の町並みを歩いてみましょう。下諏訪宿は江戸時代、中山道と甲州街道が合流する交通の要衝として賑わった宿場町です。諏訪大社下社秋宮があり、温泉も湧き、多くの旅人がこの地で足を休めました。今も静かな町の中に、当時の面影を残す建物がいくつも残っています。

本陣岩波家で歴史を感じる

本陣岩波家は、そんな下諏訪宿の歴史を今に伝える貴重な建物です。本陣というのは大名や公家などが宿泊した格式の高い宿のことで、岩波家は代々その役目を務めてきました。

現在は建物の一部が公開されていて、江戸時代の宿場の雰囲気を感じることができます。広い座敷や立派な門構え、庭の造りなど、当時の暮らしぶりが伝わってきます。館内には宿場に関する資料や当時使われていた道具なども展示されていて、ゆっくり見て回ると30分から1時間ほどはあっという間に過ぎてしまいます。建物自体が歴史の証人のような存在で、柱や梁の一本一本に時間の重みが感じられます。

https://maps.app.goo.gl/hJ7RYHNfR6fQ6pqt6?g_st=ipc

地元の味を楽しむ

町を歩いていると、昔ながらの商家の建物を利用した飲食店や喫茶店にも出会えます。信州といえば蕎麦ですが、下諏訪にも地元の人に愛される蕎麦屋がいくつもあります。

蕎麦屋 みのり 秋宮前

蕎麦屋みのりさんは秋宮へ向かう途中にある清潔ながら広い店舗で、信州のそばをお得な値段でいただけます。

https://maps.app.goo.gl/eYCBgWSZhSiYbQKj8?g_st=ipc

奈良井宿へ移動

下諏訪を十分に堪能したら、次は奈良井宿へと足を延ばしてみましょう。下諏訪駅から塩尻駅まで普通列車で約30分、塩尻駅で中央本線から分かれる篠ノ井線に乗り換えて、さらに20分ほどで奈良井駅に到着します。

列車の窓から見える風景は、諏訪湖から山間へと移り変わり、木曽谷の深い緑の中を進んでいきます。本数はあまり多くないので、時刻表を確認してから移動するのがおすすめです。

中山道屈指の宿場、奈良井宿

奈良井駅を降りると、そこはもう江戸時代の宿場町そのものといった雰囲気です。駅から少し歩けば、約1キロメートルにわたって続く古い町並みが現れます。奈良井宿は中山道69次のうち、江戸から数えて34番目の宿場でした。

標高約1000メートルの山間に位置し、「奈良井千軒」と呼ばれるほど多くの家々が軒を連ね、木曽路で最も賑わった宿場のひとつとして知られています。

町並みを歩いていると、時代劇のセットの中に迷い込んだような錯覚を覚えます。けれどもこれはセットではなく、今も人々が暮らし、商いを続けている生きた町なのです。

切妻屋根の家々が整然と並び、軒先には格子戸や出格子が美しいリズムを作り出しています。道の中央には水路が流れ、かつて旅人がここで喉を潤したり、馬に水を飲ませたりした様子が目に浮かぶようです。

奈良井宿の建物の多くは江戸時代後期から明治時代にかけて建てられたもので、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

漆器店や木工品を扱う店、土産物屋、食事処などが軒を連ねていますが、どの店も古い建物をそのまま活かしているため、商業的な雰囲気があまり感じられません。漆器は木曽の伝統工芸で、奈良井宿でも多くの職人が技を受け継いできました。店先に並ぶ艶やかな漆器は、普段使いできるものから贈答用の品まで様々です。

宿場の真ん中あたりには、かつて問屋や本陣があった場所の跡が残されています。当時の宿場の中心地で、荷物の引継ぎや人馬の手配が行われていた場所です。今は資料館として公開されている建物もあり、宿場の機能や旅人の様子を知ることができます。

ゆっくり歩いて、写真を撮ったり店を覗いたりしながら町並みを往復すると、2時間から3時間ほどはかかるでしょう。急ぐ必要はありません。江戸時代の旅人たちもここで足を休め、明日の旅路に思いを馳せていたのですから。

奈良井宿には食事処もいくつかあります。五平餅や蕎麦、山菜を使った郷土料理など、木曽の味を楽しめます。古民家の座敷で食事をいただくと、まるで昔の旅籠に泊まった旅人になったような気分になります。甘味処で休憩しながら、ゆっくり町の空気を味わうのもいいでしょう。

リゾートビューふるさとで帰路へ

帰路は少し趣向を変えて、リゾートビューふるさとに乗ってみるのはいかがでしょうか。リゾートビューふるさとは、JR東日本が運行する観光列車で、長野と南小谷や松本を結ぶ大糸線や篠ノ井線、中央本線を走っています。

大きな窓が特徴の車両で、信州の山々や田園風景を眺めながらゆったりとした時間を過ごせます。全席指定席なので、乗車前に指定券を購入しておく必要があります。運行日は限られていて、主に週末や休日に運転されることが多いので、旅程を組む際には運転日を確認しておきましょう。

奈良井駅から松本駅まで乗車して、そこからリゾートビューふるさとに乗り継いで長野へ向かいます。リゾートビューふるさとの車内は木のぬくもりを感じるインテリアで、観光列車ならではの落ち着いた雰囲気があります。

車窓からは北アルプスの山々が見えることもあり、季節によっては雪を冠した峰々が夕日に染まる光景に出会えるかもしれません。乗車記念のスタンプやグッズもあるので、旅の思い出にしてみてください。

長野の鉄道で大人な旅を堪能しましょう

この旅の魅力は、大きな観光地を巡るような派手さはないけれど、日本の歴史と風土がじっくりと味わえるところにあります。下諏訪宿と奈良井宿という二つの宿場町は、それぞれに個性があり、江戸時代の旅人たちが歩いた道を今も歩けるという貴重な場所です。列車の旅というのも、移動そのものが目的のひとつになります。特急あずさの車窓から移り変わる景色を眺め、奈良井での散策を楽しみ、リゾートビューふるさとでゆったりと帰路につく。そんな一日は、きっと心に残る旅になるはずです。

一人旅だからこそ、自分のペースで歩き、立ち止まり、好きなだけその場所の空気を吸い込むことができます。誰にも気兼ねせず、ふと目に留まった路地を歩いてみたり、気になった店に入ってみたり。そんな自由が一人旅の醍醐味です。信州の古道を訪ねる旅は、観光名所を効率よく回るような旅ではありません。けれども、時間に追われずゆっくりと歩くことで見えてくるものがあります。古い建物の軒先に咲く花、水路を流れる水の音、木曽の山々に囲まれた空気の清々しさ。そんな小さな発見の積み重ねが、旅を豊かにしてくれます。

次の休日、少し早起きして新宿駅へ向かってみませんか。特急あずさの車内で本を開き、車窓を眺めながら信州へ。下諏訪宿で江戸の風を感じ、奈良井宿で時間の流れを忘れる。そして夕暮れ時、リゾートビューふるさとの窓から山々を見送りながら、ゆっくりと日常へ戻っていく。そんな旅が、きっとあなたを待っています。