高岡駅からのアクセス方法

富岡製糸場への旅は、高崎駅からローカル線・上信電鉄に乗り換えるところから始まります。この路線は観光客だけでなく地元の人々の足として長く愛されてきました。
上信電鉄の利用方法
高崎駅から上信電鉄に乗り換える場合は、JR高崎駅の西口を出て徒歩約3分の場所にある「高崎駅」停留所から乗車します。切符は自動券売機で購入できますが、上信電鉄ではSuicaやPASMOなどの交通系ICカードは利用できませんので、必ず現金をご用意ください。
高崎駅から上州富岡駅までの運賃は片道810円(2024年2月現在)で、所要時間は約40分です。列車は概ね1時間に1〜2本程度運行していますが、休日ダイヤは平日と異なりますので、事前に時刻表を確認しておくことをおすすめします。
お得な「富岡製糸場見学往復割引乗車券」
上信電鉄では、往復乗車券と富岡製糸場の入場券がセットになった「富岡製糸場見学往復割引乗車券」を販売しています。このセット券を利用すると、通常料金よりもお得に訪問できます。
【セット乗車券の詳細】
- 料金:高崎駅~上州富岡駅間1往復電車賃(1,620円)+富岡製糸場見学料(1,000円)がセットになって、通常2,620円のところ、2,200円(小人は840円)
- 購入場所:高崎駅(上信電鉄)・上州富岡駅
詳しい情報は上信電鉄の公式サイトでご確認いただけます。
公式サイトリンク: https://www.joshin-dentetsu.co.jp/ticket/1170/
車窓からは群馬の豊かな自然と田園風景が広がり、製糸場に向かう途中の小旅行としても楽しめます。途中の下仁田駅周辺では、名産のこんにゃくや下仁田ネギの畑が見えることもあります。
訪問前の準備
上州富岡駅から富岡製糸場までは徒歩で約20分かかりますので、以下の準備をしておくと快適に散策できます。
持ち物チェックリスト
- 飲料水:特に夏場は必須です。駅構内にも自動販売機がありますが、価格は市街地より若干高めです。
- 歩きやすい靴:製糸場内と周辺は石畳や砂利道もあるため、ヒールやサンダルは避けましょう。
- モバイルバッテリー:写真撮影などでスマートフォンの電池消費が激しくなります。
- 日よけ対策:夏場は日陰が少ないエリアもあるため、帽子や日傘があると便利です。
- 現金:上信電鉄やエリア内の一部飲食店ではキャッシュレス決済に対応していないところもあります。
季節別の服装アドバイス
春(3月〜5月)
軽めのジャケットやカーディガンがあると安心です。特に4月上旬は朝晩の寒暖差が大きいので、脱ぎ着できる服装がベスト。製糸場周辺では桜の名所もあり、散策に適した季節です。
夏(6月〜8月)
群馬の内陸性気候で夏は非常に暑くなります。通気性の良い服装と日よけ対策、こまめな水分補給を心がけましょう。製糸場内の煉瓦造りの建物内部は比較的涼しいですが、屋外での移動時は熱中症に注意が必要です。
秋(9月〜11月)
9月は残暑が厳しいこともありますが、10月中旬からは朝晩の冷え込みが始まります。重ね着できる服装が便利です。製糸場周辺の紅葉スポットを散策するなら、11月上旬〜中旬がおすすめです。
冬(12月〜2月)
群馬の冬は乾燥した冷え込みが特徴です。防寒対策はしっかりと。特に風が強い日は体感温度がさらに下がるため、マフラーや手袋も持参すると良いでしょう。製糸場内の煉瓦造りの建物内部は外よりやや温かいですが、長時間の見学では冷えを感じることもあります。
上信電鉄の時刻表は季節やイベントにより変更されることがありますので、訪問前に公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。地元民としてのアドバイスですが、平日の午前中に訪れると比較的空いていて、ゆっくりと散策を楽しむことができますよ。
富岡製糸場の見どころポイント

富岡製糸場は世界遺産として有名ですが、観光ガイドブックには載っていない地元民ならではの視点で、本当の魅力をお伝えします。建物の美しさだけでなく、そこで働いていた女工さんたちの生活や、当時の最先端技術が詰まった場所なのです。
地元ガイドが教える見落としがちなディテール

多くの観光客が見逃してしまうのが、東繭倉庫(国宝)の木造トラス構造です。明治時代の日本では珍しかったこの建築技術は、当時の先進性を物語っています。特に2階に上がると、その見事な木組みと自然光の取り入れ方が一望できます。

また、建物の外壁にあるレンガの積み方の違いにも注目してください。東と西の繭倉庫では積み方が異なり、建設時期や技術の変遷を読み取ることができます。レンガをよく観察すると、「ヤマニ」などのレンガ製造会社の刻印が見つかります。これらの刻印から、当時の建築資材の調達ルートや国産化への取り組みを知ることができる貴重な証拠です。
写真撮影におすすめの角度とポイント

SNS映えする写真を撮りたいなら、正門から見た繰糸場(国宝)の全景が定番ですが、地元民おすすめは次の特別なポイントです:
西置繭所(国宝)の2階から見る景観
特に午前中の光が差し込む時間帯は、建物内部の木造構造と外の景色のコントラストが美しく撮影できます。
検査人館の西洋風建築

日本の伝統建築と西洋建築の融合が見られる貴重な建物です。特に縦長の窓枠や装飾的な屋根の造りは、当時の最新の西洋建築様式を取り入れたもので、写真に収めると異国情緒あふれる一枚になります。
東置繭所(国宝)入口の明治5年創業の要石

創業当時から残る貴重な石材で、富岡製糸場の歴史的価値を象徴するスポットです。この要石と建物全体を一緒に収めると、歴史の重みを感じる写真に仕上がります。
製糸所(国宝)の製糸機

当時最先端だった製糸技術を今に伝える機械です。特に窓からの自然光が差し込む時間帯に撮影すると、機械の精密さと当時の技術力の高さを伝える写真になります。
地元民だけが知るコツとして、入場してすぐの「繰糸所」は人が多く写り込みやすいので、午前中の開場直後か、午後3時以降の比較的空いている時間帯の撮影がおすすめです。
女工さんの生活に関する展示の紹介
富岡製糸場の魅力は建築だけではありません。ここで生活し、働いていた女工さんたちの日常にフォーカスした展示も見逃せません。
東置繭所(国宝)内の生活用品展示では、女工さんたちが使っていた箸や茶碗、手鏡などの生活道具が展示されています。特に注目したいのは、彼女たちの手紙や日記のレプリカです。家族への思いや仕事の苦労、同僚との友情が綴られており、150年前の若い女性たちの等身大の姿を知ることができます。
おすすめの「おきりこみ」が食べられる店

富岡製糸場の見学後は、かつて女工さんたちが食べていた郷土料理「おきりこみ」を実際に味わってみましょう。地元民が通い続ける名店から、新しいアレンジを楽しめるお店まで、厳選してご紹介します。
地元民に人気の老舗店「小沢屋」

創業昭和11年(1936年)の「小沢屋」は、90年ほどにわたっておきりこみを提供し続けてきた老舗中の老舗です。富岡製糸場で働く女工さんたちが通ったという歴史もあり、当時から変わらぬ味を今に伝えています。
人気メニューと価格帯
看板メニューは「伝統のおきりこみ」(880円)。幅広の手打ち麺に季節の野菜がたっぷり入った具沢山の一品です。たてっけえしと呼ばれる伝統的な作り方で、麺に塩を練り込んで煮込む鍋焼きうどんのような麺です。
下仁田ネギや鴨肉などもタップリ入った、うどんともほうとうとも違うおきりこみは、素朴な味ながら深みのある味わいでした。
アクセス方法と営業時間
富岡製糸場から徒歩7分、「上州富岡駅」から徒歩10分の場所にあります。住所は群馬県富岡市富岡29−10。営業時間は11:00〜15:00(L.O.14:30)、17:00〜20:00(L.O.19:30)、水曜定休です。昼時は地元の常連客で混雑するため、11:30以前か13:30以降の来店がおすすめです。
食後の散策コース
おきりこみを堪能した後は、甘楽にあるスーパーツルヤに立ち寄るのもおすすめです。甘楽は富岡製糸場のある上州富岡駅から2駅の上州福島駅が最寄りとなっています。
スーパーツルヤ甘楽店
散策の締めくくりに立ち寄りたいのが、地元の人々に愛されているスーパーマーケット「ツルヤ甘楽店」です。一般的なスーパーのイメージを覆す、まるでデパ地下のような品揃えと質の高さで知られています。富岡製糸場から車で約10分、上信電鉄上州富岡駅からは路線バスで15分の場所にあります。
地元の食材や特産品が揃う品揃えの特徴
ツルヤの最大の魅力は、地元群馬県産の食材を豊富に取り揃えている点です。特に以下の商品が人気です:
- 地元産野菜:地元農家から直送される新鮮な野菜が並びます。特に下仁田ネギや長野産のキノコ類は見逃せません。
- オリジナル惣菜:地元の伝統料理をアレンジしたお惣菜は、試食コーナーも充実。「おきりこみ風煮物」や「かんぴょう巻き」などが人気です。
- 富岡シルクスイーツ:蚕都・富岡ならではの、シルクパウダーを使ったケーキやクッキーは、他では味わえない逸品です。
- 地酒コーナー:群馬県内の酒蔵による日本酒やリキュールが充実。中でも富岡産の米を使った「絹の滴」は限定販売の人気商品です。
また、通常のスーパーマーケットとは一線を画す品質の高さも特徴。輸入食材や有機野菜のコーナーも充実しており、地元客だけでなく観光客からも支持されています。試食コーナーも多く、地元の味を気軽に試せるのも魅力です。
店内は広く、休憩できるスペースも併設されているため、散策の疲れを癒すのにもぴったりです。
帰りの電車の時間まで余裕がある場合は、2階のレストランで夕食を取るのもおすすめです。地元食材をふんだんに使った料理は、旅の締めくくりにぴったりです。