今回は香川県の金比羅宮へとやってきました。「こんぴらさん」という名で長年親しまれてきた香川県を代表する神社の一つです。参拝をするためには、強烈な坂を登っていかなければいけないということでも知られていますが、実際に歩いてみるとどのくらい大変だったのかをレポートします。
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琴平駅から歩いて金比羅宮へ、まずはうどんで腹ごしらえ
金比羅宮へ行く前にやってきたのは、琴平駅前すぐの讃岐うどんやさん「いわのや」
雨が降っていたこともあり、体も冷えていたので温かいうどんが食べたくなりました。香川県といえば讃岐うどんを食べないわけには行かないので、駅から歩いて5分ほどのこちらのお店へとやってきました。
かけうどんは小サイズで一玉270円!いりこだしの効いた澄んだ色のスープとコシのある麺は、香川の誇るべきファストフードですね。入り口でうどんを注文し、天ぷらなどのおかずはセルフで取り分けて会計をするというスタイルです。
この買い方は、全国展開している丸亀製麺やはなまるうどんでも採用されているので、香川県民以外のかたにももはや馴染みのある方法ですね。
もちろん天かすや生姜などもあとから自分で足すことができます。このお店ではネギは入れ放題ではありませんでした。
また香川では、おでんもよく一緒に販売されています。天ぷらと同じように自分で選んで取り分ける事ができます。味噌をつけて食べるタイプのお店だったので、牛すじを選んでセルフで会計へ向かいます。
温かい食事で体も温まり、お腹も満たされたのでいざ金比羅宮へと足を運びます。
1,368段もの階段を登る覚悟はできたか?
いよいよ金比羅宮へと向かう参道へ進みます。金比羅宮の本宮へ行くには785段、さらに奥社までいけば1,368段もの階段を登っていかなければなりません。この強烈な階段も金比羅宮の特徴で、足腰を鍛えていなければかなり大変な山登りになるでしょう。
参拝者を試すかのような石段を一つ一つ登っていき、まずは鳥居をくぐります。両側にお土産屋さんの並ぶこのエリアはまだまだ入り口にすぎません。
重要有形文化財の灯明堂と釣灯籠
参道を歩いていくと、急に古めかしい建造物が横に現れます。こちらは灯明堂と呼ばれ、中には灯籠を吊るすための柱が大きく設えてあります。金比羅宮の信仰は漁民や船乗りたちの間で特に強く、この燈明堂も因島の方々の寄進によるものだそうです。
船乗りたちからの寄付によって作られたお堂らしく、船の竜骨状の梁が用いられており島の船大工が作ったらしい構造となっています。
機雷を取り除く「掃海艦はやせ」殉職者顕彰碑
さらに石段を登っていくと、大きな錨が置いてあるのに気づきます。こちらは戦後瀬戸内海などに残された機雷を取り除くための掃海艦と呼ばれる船で殉死された人々を祀る慰霊碑と関わりのあるものです。
瀬戸内海近辺に多数設置された機雷は、戦後も自動的に無力化されるわけではなくこの掃海艦によってひとつひとつ取り除かれていきました。この掃海作業を行う掃海艦の活躍と犠牲なしには今の海上交通の便はありえなかったでしょう。
まずは序盤の坂を登りきった!
まずは最初の急な坂である一の坂を登りきり、大門をくぐります。振り返ると、琴平の町が一望できそうですね。この日は雨なので景色はよくありませんが。ここまでですでに足への疲労がかなり溜まっているのが感じられました。
少し気楽に進める桜馬場
大門をくぐった少し先の道はやや緩やかで、両側に桜の咲く「桜馬場」と呼ばれる場所です。春には桜の名所として花見客で溢れかえります。このあたりで少し体力を回復させつつ上へと向かいます。
12月でしたが、まだ紅葉の見られる場所もあり足の疲れを癒やしてくれる光景となっていました。
国の重要文化財「表書院」
階段を登り続け、二手に分かれる場所で右手に進むと、金比羅宮の文化財を保存する表書院へとたどり着きます。足の疲れもあるので、雨宿りがてらこちらへ入っていきます。この建物自体も萬治年間〔1658‐1660)に作られたもので非常に価値があります。
円山応挙の晩年の作品がずらり
この表書院を重要文化財たらしめているのが、内部の五間に描かれた円山応挙による障壁画たちです。
円山応挙は江戸時代に活躍した絵師で、丸みを帯びた親しみのある動物たちを描いたことでも知られています。
元来威厳や恐怖といったイメージを持っていた虎の絵ですが、このふすまに描かれた虎たちは水を飲んだり、遊んでいたりと自由に過ごしており、猫のような可愛さを持って映し出されています。
前庭を望む縁側には、紅葉が見られ雨ながらの景色を楽しむことができました。金比羅宮の参道は人が多かったですが、この場所だけは静かな時間を過ごせる最高の場所でした。
いよいよ見えた立派な建築は旭社
強烈な階段を登っていき、やっと到着!
と思ったら、まずはこの旭社を見るために迂回をしなければなりません。横の道からさらに御本宮まで強烈な階段を登っていく必要があります。そろそろ足が堪えてくる頃です。
道中の階段は歩いていて大変でもありますが、雨と霧で作られた幻想的な景色は神社の幽玄さをより際立たせてくれました。
785段もの階段を登り、やっと本宮へ到着!
本宮へ行くための最後の階段は「御前四段坂」と呼ばれる非常に急な階段で、133段の石段で構成されています。最後の最後で大変な階段を登る事ができた人が本宮への参拝をできるということです。
そしていよいよたどり着いた金比羅宮本宮。古来から海上守護の神として仰がれ「こんぴらさん」の名前で親しまれてきました。御本宮の御祭神は、大物主神と崇徳天皇で創建は不明とされていますが、長保3年(1001年)には社殿が改築されたという記録が残っていることからも歴史の深さを知ることができます。
神楽殿に置かれた楽太鼓
御本殿のすぐ後ろにある神楽殿には、装飾のされた楽太鼓が設置してありました。艶やかな紅色は目を引く装飾で、雅楽などに使われるものだそうです。
階段を降りると先ほど見えた旭社の前へと戻ってくることができました。この旭社はかつて金堂として建立され、あまりの立派さに本堂と見間違える人も多くいたそうです。かくいう私も。
江戸時代末期の豪勢な装飾がされており、国の重要文化財としても登録されています。
参道まで戻った後はうどんで休憩
急な下り坂と下り階段を降りて、やっとこ元の参道まで戻ってくることができました。雨で体も冷えていたので、やはりうどんを食べるために「手打ちうどん てんてこ舞い」さんへやってきました。
かけうどん小は370円とやや高価ですが、観光地としては非常にお得ですね。おやつ代わりにうどんが食べられるのは香川ならではです。こちらもコシのしっかりしたうどんで、併設されている中野うどん学校さんでは、うどんづくりの体験もできるそうです。なにからなにまでうどん絡みなのは流石としかいいようがありません。
階段昇降で消費したカロリーをうどんで補いつつ、讃岐のこんぴらさん「金比羅宮」へのお参りは、おわり。
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